子どもの眼球視力と脳内視力の違い
視力には大きく分けて「眼球視力」と「脳内視力」があります。
眼球視力は「目の網膜にモノを映してピントを合わせる能力」です。
私達が何かモノを見ようとすると、そのモノに当っている光が凸レンズの役目である角膜を通って屈折し眼球内に入っていきます。
眼球の中にはもう一つのレンズ、水晶体があり、毛様体筋によって厚みを変えながら網膜というスクリーンに光がピントを合わせて当たるように調整します。
いっぽう脳内視力は「視神経を経て届いた情報を脳が解釈して映像化する能力」です。
まず網膜に映った光は電気信号に変換され、視神経を通って視床を通過し大脳皮質の視覚野に送られます。
その電気信号はまったく整理されていない、あらゆる情報が入り交じった状態のものです。
0歳時から色々なものを見る機会を与えることが大切
0歳頃に積極的に様々なものを見る機会を与えることで、情報を的確に分解する「色・形・奥行きなどの立体感・動くものを目で追う能力」などが育ちます。
もちろん、ものをしゃぶる行動も、この視力獲得と絡みあって奥行きの認識力・理解力を発達させます。
この能力は、1歳から2歳ごろにかけて急激に育っていきます。
3歳から6歳ごろの間に、一つにまとめられた情報を前頭連合野に送られることで、飛躍的に「思考・分析・注意・意欲・情緒・学習」の力が高まっていきます。
これらの回路を育てなければ、言葉も当然育ちません。
目で見ているものの意味づけができなかったら、ものや動きにそれを表す言葉を与えることはできないでしょう。
3歳までに様々な情報が目から入るような取り組みをすることが、3歳以降から始めるのとではケタ違いに重要です。
目から入る情報を充実することで、さらに「脳内視力」も活性化
眼球視力がよければ目から入る情報が増え、さらに脳内視力が高ければ目から入ってきた情報をよりたくさん認識できます。
つまり「よく見える」=「意欲を高める」「注意する」「集中する」という効果につながるのです。
逆に物がよく見えない状態で学ぶことはよほどの訓練を積んだ人でなければ大変困難なのです。
幼児期から様々なものを見る機会を積極的に取り入れることで、子どもの「脳内視力」が成長し、思考力・分析力・意欲などの高まりにつながるのです。
過剰にならない範囲で適切に子どもに意識的にものを見る機会を与えて、「目」を通じて子どもの「脳」も育ててあげるようにしましょう。